マルチタスク
あなたは物事を進めるにあたり、シングルタスク型ですか?それともマルチタスク型ですか?
特に女性はマルチタスク力に優れている傾向にあるのだそうです。
女性は髪を乾かしながらメイクをして電話をするということをいとも簡単に行いますし、一度に色んな料理を同時に作れる人もいるほどです。
私自身、マルチタスク力は宝塚に入ることによってとても強化されたと思います。子供の頃から、1つの事にのめり込んだらそれしか見えないたちで一気に色んなことをする能力は元からは備わっていなかったように思います。不器用で1つのことしかできないので、かなり視野の狭い子供だったのかもしれません。
宝塚で身についたもの
宝塚の舞台裏では常に戦場のように慌ただしく一気に色んな事が行われています。
衣装や髪型の早替わりやマイクの受け渡しなど全て出演者が段取りを組んで各自で行っています。また本番中にたった一日だけ新人だけで行う新人公演というものもあったり、公演とは別の仕事を並行することもザラにあります。
宝塚は変幻自在な早替わりと舞台セットのチェンジが早いことが一つの特徴であり、売りでもあります。ほとんどが数十秒以内の早替わりで1分あれば十分に間に合うという暗黙の了解があります。稽古中は早替わりの練習などはありませんから公演初日の2、3日前にある実際に舞台を使った舞台稽古でしかその確認が出来ません。
舞台稽古で全く早替わりが間に合わないなんて事はよくある話です。舞台上から早替わりをする為の着替え場所までの導線の確認や確保、いかにスムーズに着替えるか衣装の仕掛けや段通りをその時に考えて成功させなければなりません。全ての場面の確認をしなければならないので何回も確認や練習をする時間もないので舞台稽古は必要以上に緊迫した空気になります。
早替わりが間に合わなければ本番に支障が出てしまいます。衣装だけではなく髪型やかつら、身につけているアクセサリーまで全て変えるのですから、かなり計算されたタイミングで行われます。
そして舞台で使用するマイクですが、使えるマイクの数は限られているのでマイクの受け渡しも実は出演者達の中で行われているのです。
宝塚は規則もそうですが、役者達で考え連携をとり作り上げる部分がとても沢山あります。常に誰かがサポートでつき、指示出しをしてくれるのではないので自分達で良い段取りを考え、着替える場所の準備も自分で行います。
お客様の前だけではなく、裏側でもそのように常に緊張感を持たなければ表の舞台に支障が出てしまいます。
また公演中にディナーショーや他の公演の稽古をスケジュールの関係で前倒しにして行うことも珍しくありません。
終演後に仕事や稽古があるときはいかに早く準備し、用意をするか時間が勝負の為、髪を乾かしながらメイクをし食事をとりながら稽古の確認をするというのも日常茶飯事でした。
このように本番の公演が行われているのと同時に色んなことを考え覚え、自分で準備しなければならないのです。宝塚はどんなにマイペースな人でも、このように日々の戦場のような現場で鍛えられマルチタスク力がどんどん身に付く環境でした。
学年が上がるにつれて舞台全体を見る力がつき、色んなアクシデントにも対応できる度胸や臨機応変さが身につきました。このように研ぎ澄まされた環境で大いに役立つ力が身につきました。
このように限られた時間や環境ではマルチタスク力は大きな力となりますし、宝塚という世界では必須の身に付けなければならないスキルでした。
しかしリアルの人生にて「理想を叶える」という事に関しては
私はマルチタスクよりもじっくりと取り組み達成していくシングルタスクの方が良いと思います。
シングルタスク
宝塚は夢の世界でありリアルではありません。人生において突然場面が変わることもなければ、突然自分とは別の人格やキャラクターになることもありません。
宝塚というのは、大きな無限の可能性がある人生の中での一つの生き方の選択肢です。
その世界で生きていくためにはマルチタスク力が必要でした。なぜなら人生よりもかなり早い時間軸で生きる世界であったからです。とてつもないスピードで取り組み、次から次へと覚えるものが決まっており時間がかなり限られていました。だからこそ非現実的でいつまでも少女漫画のような夢夢しく美しい世界が作りだされ、観劇中も夢から覚めることのないあっという間の空間を作りだせているのだと思うます。
しかし人生は何度も上演される舞台とは違い、たった1回きりのものです。生きている中で場面はすぐに変わりませんし、私はずっと私であり別のキャラクターになるわけでもなければ突然別の世界で生きる私と同時進行するなんてこともありません。
人生は広い世界であり可能性も無限大です。そんな広大な世界で自分自身の理想の人生をつくるには、何を優先し何を重視するのか道筋をしっかり決めておかないと簡単に道に迷ってしまいます。
自分の理想、夢の為に一点集中してコツコツとステップを踏んでいく。その時にあれもそれもと同時に抱えてしまっては足場はすぐに崩れてしまいます。しっかりと根を生やし、その次に何を積み上げていくか着実に進めていくことが大切です。
理想を叶えるのは
最も必要なことは『マルチタスクをいかにシングルタスクにしていくか』だと思います。
シングルタスクの意味は1つの業務や作業(タスク)が完了してから、次のタスクに着手する仕事の手法です。
あなたは現時点でどれに一点集中するか、そして自分が貫き通すものを明確にしてほしいのです。
「なにかを達成したい」「叶えたい」のであれば、沢山ある中でどれを最重要項目にし何を優先すべきかを考えそこに一点集中する事で最短で最良の道を切り拓く事が出来ます。「宝塚に入ること」が夢だった私は自分の人生の中で学校生活や睡眠等の中で何を優先し、何から着手するのか計画を立てていました。タスクを把握し一点集中のシングルタスクで取り組んでいました。
まずは根底の自分をしっかり持つ事。自分の声を聞き自分を満たし、本当の自分の思いを知る事。その本当の自分が大切にしたい思いをベースにした選択に絞り、そこに一点集中していく事でどんどん足場が強固になっていきます。
『着実に一つずつこなしていき、より強固でより自分の確固たる思いを形にしていく』
これが理想の叶え方だと思います。
また理想の人生というのは悔いのない人生です。
色んな可能性、選択がある中で自分の選択に人生がかかっています。
生きている中で日々行わなければならない事もたくさんあります。
そのタスクたちの中でどれを優先していくか。その究極の選択ができるように日々自分の求めるものを明確にする事で選択に迷いがなくなります。その為にはいつもお伝えしている日々自分を見つめ、自分と向き合っていることがマストです。
着実に足場を固めていき、着実に夢を達成する。
理想を現実にする為には『タスク管理をし、それをいかにシングルタスクにしていくか』が重要であると私は思います。
宝塚でマルチタスクが身についた私はいかに効率よく目の前のことをこなすかに注力しがちでしたが、人生で叶えたいことに対しては同時進行ではなく着実に泥臭いことをコツコツ行う事でそれがあなたの実力になり、本当にあなたの叶えたい未来を実現させる方法だと思います。
風羽 玲亜
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