宝塚

環境による絶大な効果

毎年のニュース

今年も宝塚音楽学校の合格のニュースが流れているのを目にしました。今年入学される方は第110期生ということで、私は第90期生として入学したのであれから20年もの歳月が経ったことにびっくりしました。

あなたは毎年この時期に流れる宝塚の合格発表のニュースを目にしたことはありますか?特に関西地方にお住まいの方は昔からよく見かけていたかもしれません。

タカラジェンヌは生まれながらにしてあのなんとも言えない浮世離れした独特の雰囲気を持った人間が集まったわけではありません。なぜなら私自身がとても平凡でごく普通の女の子だったからです。そんな私でも音楽学校も含めて約14年宝塚に在籍し、タカラジェンヌとしての人生を全うすることができました。それがなぜできたのかということを今日はお話ししたいと思います。

宝塚の合格とは

よく勘違いされている方もいるので宝塚の仕組みについてまずお話をしていきますね。

毎年流れるニュースは「宝塚の合格」というより詳しくいうと「宝塚音楽学校の合格発表」の様子です。宝塚に合格したからといって、すぐに宝塚歌劇団に入団しタカラジェンヌになれるわけではありません。タカラジェンヌになるためにはまず宝塚音楽学校に入学、そして卒業することが必須なのです。

そのことも踏まえて毎年のニュースでの未来のタカラジェンヌ達と言ったりタカラジェヌの卵という表現が使われています。この宝塚音楽学校の受験資格というのは中学卒業から高校卒業までの計4回のみのチャレンジができます。ここが大学受験などと大きく違うところです。年齢制限があり、かつ義務教育必修です。なので同時期に入学した中でも最高4歳差という同期ができるのです。

宝塚音楽学校は関西在住であれば自宅から通う子もいますが、全国各地から受験する為、ほとんどの子が寮に入ります。私の同期も上は北海道から下は沖縄までいたので、ほとんどが寮住まいでした。

まず教わる上下関係

宝塚の舞台に立っているタカラジェンヌ達は全て宝塚音楽学校の卒業生でもあるということです。宝塚音楽学校は2年制のいわば専門学校のようなところです。もちろん目的はタカラジェンヌとして舞台で活躍できるように音楽から踊り、舞台人としての全てを学ぶところです。

まず入って1年目を予科生、2年目を本科生と言います。この予科生と本科生では雲泥の生活です。というのは入ってまず1年目の予科生の間に、宝塚の代名詞とも言われる「上下関係の厳しさ」を本科生からみっちりと教育されるからです。

ですので予科生に遊んでる暇は一ミリもありません。もはや怒られるために学校に通っているのではないかと言われるくらいに(笑)厳しい指導を毎日のように受け、上下関係の厳しさと一糸乱れぬ団体行動と同期の絆を植え付けられます。同じタイミングで入った同期とそんな過酷な状況を共に乗り越えてきたからこそ何にも変えられない特別な絆が生まれるのだと思います。普通に同じタイミングで入学しただけの存在でいたらここまで信頼してなんでも話せたり、親よりもお互いのことを理解できるような関係にはなれなかったと思います。この環境によって絆と共にタカラジェンヌとしても意識を自然と身につけることができているのだと思います。

環境による効果

このように追い込まれた環境によって、私たちの中には「上級生は絶対的存在である」ということと「同期との固い絆」というものが強く刷り込まれます。また自分より上の上級生達も同じような教育を受け、同じ思考を持っているともいえるのです。

だから宝塚は団体芸もとても強いのだと思います。先生に言われたら阿吽の呼吸で動きを合わせる、一から十まで言われなくてもすぐに動いて対応できる力をこの環境によって身につけることができているのです。それの代表ともいえるのが初舞台生のお披露目で必ず行うラインダンスです。

あなたはこれまでラインダンスをご覧になったことはありますでしょうか。

真ん中から背の順に並び、両腕を両隣の人の腰にあて、全員が一斉に同じステップを踏むダンスのことです。一人一人のダンススキルよりも全員が一糸乱れぬ動きのあったダンスを見せることが売りです。この時に初舞台生は一日中練習をし、本番前に疲労骨折までしてしまうくらいに吐きそうになるまで練習を重ねます。

稽古場には鏡がありますが、本番はもちろんありません。上げる脚の向きから角度、顔や体の向きも全てみんなと合わせるので呼吸も合わせます。全身で全員と合わせる意識を持って練習に取り組むことによって自分だけではなく、周りといかに合わせるかという意識がとても磨かれます。

このような周りと合わせる意識と環境によってタカラジェンヌとしての思考や感性が育ち、刷り込まれていくのです。これはいちいち手取り足取り教わるものというよりも環境の影響が非常に大きいと思います。性格や思考において人は矯正が難しいと言われますが、こう言った環境の力によってどんな人も変わることができるといえるのです。

自分の環境を見直す

あなたは理想の自分像というのを描けていますか?あなたの理想の人生があるのだとしたらそこでのあなたはどんなイメージでしょうか。そのあなたはどんな生活やどんな環境にいると思いますか。

そうイメージした時に今の自分の環境や周りの人をよく観察してみてください。人は思った以上に周りの影響を受けています。自分では気づいていないような思い込みや信念がいつの間にか染み付いてしまっていることがあります。もしあなたのすぐ近くにいつもネガティブなことを言っている人がいたらあなたがもしポジティブな傾向にあったとしてもネガティブに引きずられると言われています。

また理想が固まっていたとしてもあなたの生活習慣が理想とかけ離れてしまっていては一向に理想には近づけないと思います。

理想のあなたの周りにはどんな人がいるでしょうか。そんなあなたはどんな生活をし、どんな感性や思考を持っているでしょうか。

私はいつもまず自分を満たすことの大切さをお伝えしていますが、その次に是非この環境の力を借りることで一気に理想の自分に近づくことは可能だと思います。

ここでの注意点は心が枯渇してまま環境の力を借りようとしてもなかなかうまくいかない可能性がとても高いです。その理由については詳しくはこちらのブログも読んでいただければと思います。

心を満たし、環境の力をぜひ最大限活かしてみてくださいね。

風羽 玲亜

コメント

タイトルとURLをコピーしました