私の実体験

見失ってはいけないこと

厳しい上下関係

私は宝塚歌劇団出身ですというと必ず厳しい世界だったのでしょうと言われます。

それほど宝塚は上下関係が厳しいことで有名です。

しかしそれが昔から守られてきたからこそ、演出家の先生が手取り足取り面倒を見なくても自分達で一丸となって良い舞台を作り上げ、一糸乱れぬ群舞を踊ることができ、いつまでも非現実的な夢夢しい世界を保つことができているのだと思います。

上下関係が厳しいのは体育会系では当たり前のことです。この体育会系を経験した人にとても伝えたいことがあります。

体育会系を経験すると否応なしに目上の人、上級生を敬い讃えることが絶対条件になります。

私自身、宝塚に入るまでは部活動もスポーツ系に所属したこともなく、この上下関係を植え付けられた時はとても衝撃でしたし、こんな華やかな世界にこんなにも厳しい上下関係が存在していたこと、そしてタカラジェンヌ誰しもがこれを経験してきたことにびっくりしたくらいです。

冗談のように言われていた「先輩がカラスは白いと言ったら白い」ということが成立するような世界でした。体育会系を経験した人は誰もが共感する話だと思います。

環境で染み込んでしまった価値観

しかしこの環境が自分の中で当たり前となり、自分の価値観や常識になってしまうといざ違う世界に飛び込んだ時や人生という大枠で考えた時に気をつけた方が良い点があります。

それは目上の人は絶対的な存在だと植え付けられていざ自分が上になって下に後輩や部下ができた時に横柄な態度を取ったり偉そうにしたり、下の人間を本当に格下の存在のように見下し接してしまうことです。

人には守られるべき尊厳が必ずあります。もちろん今の日本に奴隷制度なども存在しません。しかし徹底して上下関係を植え付けられ体育会系脳のようになってしまった人は自分が上になった途端、自分が絶対的に逆らえない何かにでもなったかのように勘違いをしてしまう人もいます。

それが今となってはパワハラ、モラハラと言われるまでになっているのです。

何の為に上下関係が存在するのかを理解できているかいないかで人生は大きく変わると言っても過言ではないと思います。上下関係というのは上が偉そうにすることでもなければ絶対的な存在として扱われ、何をしても良いということではないのです。

どうしても人間は周りや環境に影響を受けやすい生き物です。その為、周りの人も当たり前にやっていることが自分にとっても当たり前のことになりやすいのも確かです。しかしいつまでもそんな考えや脳みそでいると必ず自分に大きな痛手として返ってくるのです。

後輩でも下級生でも人として尊敬することは大前提にあるべきだと思います。これがお客とお店でも同じことが言えます。

お客様は神様ですという言葉

この場合は対価としてお金が発生していますが、お客だからと言ってその人自身に横柄な態度を取ったり困らせるようなことをして良いということは一ミリもありません。「こっちはお金を払っているんだ」と主張する人はサービスに文句は言えてもその対応した人自身に対して尊厳なく接して良いことなどあるはずがないのです。

このように「お客様は神様です」という言葉を自分の都合の良いように勘違いしている人がいます。そんな人には「あなたは神様から同じようにぞんざいな扱いを受けたことがあるのですか」と聞きたいくらいです。

職場でもお店でもこのような考え方で行動している人は必ず痛い目にあうだけでなく、幸せな人生を手に入れることは不可能でしょう。

そんな人には誰も近寄ろうとはしません。チャンスは人から運ばれてくるものですから、チャンスも得られずに孤独に包まれた人生になることでしょう。

自分で自分のことを体育会系出身だからという人は大概がこのような考えや思考が残っている人が多いように感じます。自分もきつい目に遭わされたのだから、あなたもそれができて当然だという考えが垣間見えるような気がします。そういう人は自分が年上だったり、上の立場になった時に当たり前に理不尽な要求をしたり偉そうにしたり、自分の武勇伝を語り自分を尊敬するように誘導しようとすらします。

そういう人は自分が気がつかないところでも人を馬鹿にしたり見下すような発言をしていたりします。

体育会系では根性が鍛えられ、人との協調性を学ぶことができます。しかし間違った考え方として自分の中に取り込んでしまうと、このように全く違う効果を発揮してしまいます。

自分を振り返る方法

体育会系出身の人は大体が学生時代に経験してきた人のことを指すのだと思いますが、その頃はまだ人生経験も浅く、吸収力が高い年代です。そんな時にそのような世界を経験するということは自分で良いものなのか悪いものなのかの判断がつきにくく鵜呑みにしやすくなるのも事実です。

またその厳しい世界でやってこれたことが自分にとって自信となるのも事実です。しかしこれがまるで自分の成功体験かのように思い込んでしまうと大変なことになります。

また「自分はまだまだだ」という追い込んだ考え方にも警鐘を鳴らしたいと思います。というのはある一定の期間においてスキルなどを磨く分にはとても有効的な考え方だとしても人生においていつまでもこの思考があるといつまで経っても今の自分にOKを出すことができず、幸せになる許可も自分に出せなくなってしまうからです。つまり生きながら自分を否定し続ける日々を送ってしまっているのです。それでは永遠に苦しく辛い人生へとなってしまうのです。

私自身、この思考にかなり苦しめられました。異常なまでに自分に厳しく、人に対しても厳しい目で見るようになり、自分で自分の世界をとても生きづらいものにしてしまっていました。自分はまだまだだと追い込み続け、常に何かに追われているような感覚で落ち着かず常に心は不安で苦しい日々を送っていました。自分を痛めつけることで幸せになれるのだと思い込んでしまっていましたし、どこかで幸せになる自分を受け入れることを拒否していたのだと思います。

今日あげたような事態に陥らないように体育会系を経験した人におすすめしたい方法があります。

それは自分の考えや行動が自分も含めて誰かを傷つけたり苦しめるようなものになっていないかを是非考えてみてほしいと思います。

誰かを傷つけ苦しめるような行動や発言をしていると必ずそれは自分に返ってきます。また自分を傷つけ苦しめる生き方は一生傷つき苦しい人生になってしまいます。

もしあなたの周りに自称体育会系出身だと名乗る方がいたら注意しながら接してみて下さい。私が言ったような行動や発言がみられたら一刻も早く距離を取ることをオススメします。

是非自分の行動や考え方を振り返ってみて下さいね。

風羽 玲亜

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